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2016年3月2日水曜日

古い着物の地色替え

おばあさまが着られた着物でしょうか、お母様のために作られた着物でしょうか。
(お聞きしたのに記憶があいまいで・・)
白地の京友禅の着物で、シミがとれない着物の地色替えをしました。
まずは、替える前の状態を


白地の京友禅・熨斗柄

細い方の着物で、今の標準寸法よりも前巾・後巾が短め。
でも、柄がピッタリ合っていて、仕立て方も内揚げなしの仕立てで、
着る人用に寸法を合わせて柄を描いて作られた着物のようです。
ポイントの柄には駒刺繍がほどこされていて、熨斗柄の無地部分は箔で柄が描かれています。
古典柄で華やか。

残念なことに、白地だから、全体に変色したシミが目立って、このままでは着られません。
それで、地色を黒く染めることにしました。

染め上ってきた反物状態、仕立て前なので、全体はわかりませんが、
部分的に写真を撮って、下手なパソコン処理で柄をつなげてみました。


 裾部分のもとの画像

 黒地になるとこんな感じ





 右後肩から右後袖 もとの画像

 黒地になると、こんな感じ




 左前胸・衿から左前袖





 さて、私は友禅の模様描きですので、染替えしみ抜きのプロではありません。
加賀友禅は金彩や刺繍を使わないため、染替えの時、どの程度箔や刺繍がもつのか、
よくわかりません。
そのことをご了解いただいた上で作業させていただきました。


刺繍部分と箔部分ちょっと柄のアップしますね。



 もとの刺繍・箔部分

刺繍があるだけで、立体感が出て豪華ですよね。
 先に染め上がりの画像を出して比較しますが、

 染め上がりの状態


まず、仕立て上がりの着物を解いて、生地の状態にしました。
作業にかかる前に、一度、生地を水につけてもらい(染屋さんに)、汚れやしわを取ってもらいました。
この時点の写真はありませんが、
刺繍は残っていたものの、刺繍糸がかなり劣化していて、太い金糸を留めていた細い糸がボロボロと切れて、刺繍糸を残すか取ってしまうか微妙でした。
箔は綺麗に残っていました。(箔は水に強い?)

地色の黒を染めてもらい、高温の蒸し そして、余分な染料を落とす水元(水につける)、湯のし(アイロンのようなもので生地のゆがみをなおす)の工程を経て、染め上ったら、

刺繍は、金色が白くなりボロボロと取れ、刺繍糸は全部はずすことにしました。
箔は、水には取れなかったけれど、熱に弱かったかな、ほぼ全部落ちていました。 

なので、仕上げに金で輪郭や柄を足し、修正。

刺繍の豪華さ・立体感はなくなりましたが、充分に綺麗な着物に染め変わりました。
黒地は白地と雰囲気が変わって、かっこいい。


ただ今、仕立てに出しています。
おばあさま、お母さまが着た着物をちょっと化粧直しして、今高校生のお嬢さまが着られます。
細くて可愛い方で、時間を経たアンティークな感じは似合いそう。

こんな風に長く大切にされる着物って、「いいなぁ」って思うんです。 
(無事、着物の形に生き返ることが出来て、ホッとしているところもありで・・
乱暴な直し方だったらごめんなさい・・)


仕立て上がlりが楽しみです。

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