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2012年6月16日土曜日

「パレード」 吉田修一

少し前、吉田修一さんの短編集、「キャンセルされた街の案内」について書きました。

http://sorakara11.blogspot.jp/2012/06/blog-post_490.html

もう少し他の本も読んでみたくなって、古本屋さんで「パレード」を買いました。




「パレード」 吉田修一
幻冬舎文庫
2002年

10年前ですね。
川上弘美さん(「蛇を踏む」「センセイの鞄」 など)が書かれている解説で、すべて言い表されていますが、まったく同感です。
「こわい小説だ。・・・略・・・」

何がこわいって、
「普通であるのに普通でない・・。」
「こんな人近くにいるよねと思われる人が、心の底にそれぞれゆがんだものをかかえていて、お互い深入りしないで共同生活している」
「知っているのに黙っている。秘密を知っていても知らなくても、何ひとつ変わらず続く日常。」

うまく書けないけれど、普通の人や生活のリアルさがこわいんです。


都内の2LDKマンションに暮らす男女四人の若者達。
「上辺だけの付き合い? 私にはそれぐらいが丁度いい」。
それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、「本当の自分」を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。
(裏表紙の解説より)


以前に読んだ吉田修一さんの本は、すごくハードボイルドでした。
パレードは、短編集に近い印象です。

本当にいろいろな分野が描ける作家さんですが、とても力強く魅力的な文章で、ぐんぐん本の中に引き込まれていきます。

好き嫌いはあると思いますが、個人的にはとてもおもしろい本でした。






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