今日は「宝尽くし」の柄について説明します。
最初にいつも文様について参考にしている「きもの文図鑑」からの抜書き。
宝尽くし(たからづくし)
吉祥文様のひとつで、宝物を集めた文様です。
如意宝珠(願いのかなう宝のたま)、宝やく(かぎ)、打ち出の小槌、金嚢(きんのう、金銭を入れる袋)、隠れ蓑(かくれみの)、隠れ笠、丁子(ちょうじ)、宝剣、宝輪、法螺などを散らします。
福徳を招く文様として喜ばれ、祝儀のきものや帯などによく用いられます。
次に個別の模様について柄を入れて説明します。
隠れ笠(かくれがさ) ・ 隠れ蓑(かくれみの)
左 隠れ笠(かくれがさ)
右 隠れ蓑(かくれみの)
危険な事物から姿を隠し守ってくれる。
「保元物語」で、「笠や蓑をかぶると姿が見えなくなる」と表現されている。
隠れ笠は男性の文様。
隠れ蓑は女性の文様。
丁子(ちょうじ)
丁子(ちょうじ)
どちらも丁子の図柄(実を図案化)。
南洋(モルッカ諸島)の果物(クローブ)で、平安時代、絹等と共に日本にもたらされた。
貴重な薬・香料(乾燥させたつぼみ)・染料
夫婦円満・健康・長寿
左 宝珠(ほうじゅ)
右 打ち出の小槌(うちでのこづち)
宝珠 ・・・何でも意のままに願いを叶える宝。
「如意宝珠」(にょいほうじゅ)と呼ばれる。
密教の法具。
丸くて先がとがっており、その先端と両側から火焔が燃え上がっている。
丸くて先がとがっており、その先端と両側から火焔が燃え上がっている。
打出の小槌・・・願いを叶えてくれる。
敵を討つ。
金嚢(きんのう)・宝袋(たからぶくろ) 宝鍵(ほうやく)
左 金嚢(きんのう)・宝袋(たからぶくろ)
右 宝鍵(ほうやく)
金嚢・宝袋・・・財宝を入れる袋・巾着袋
宝鍵・・・宝の倉庫の鍵
開く・あける 富の象徴
巻物(まきもの) 軍配(ぐんばい)
左 巻物(まきもの)
右 軍配(ぐんばい)
巻物・・・知恵・知識
軍配・・・勝負の采配を決定づける
分胴(ふんどう)
分胴(ぶんどう)
秤で金の重さを量るのに使うおもり。
富の象徴。
七宝(しっぽう) 花輪違い(はなわちがい)
左 七宝(しっぽう)
右 花輪違い(はなわちがい)
七宝・花輪違い どちらも意味は同じ
法華経でいうところのこの世の7つの宝。
無量寿経 金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲・・珊瑚
妙法蓮華経 金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲・真珠・玫瑰。
瑠璃・・ラピスラズリ
硨磲はシャコガイの貝殻
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